法制執務全般、じょうれいくんの操作、技術的な解説

-FAQ 記事一覧

ほうれいくん(法制執務室) > FAQ > -FAQ > 「A、B及びその他(の)C」という表現について
2022/09/30(金)
カテゴリー : -FAQ, 5.用字・用語、形式

「A、B及びその他(の)C」という表現について

タグ :

【お問合せ】

「その他(の)」は、「A、Bその他(の)C」といった表現で用いると思います。
「A、B及びその他(の)C」というものを見つけました。
「A、B及びその他(の)C」という表現は問題ないのでしょうか。

【弊社見解】

e-Govで検索いたしますと、「…及びその他の…」「…及びその他…」という用例は、法律にも一定数あります。

例えば、民法第766条第1項には、「父又は母と子との面会及びその他の交流」とあります。  

法制執務詳解(新版Ⅲ)やワークブック法制執務(第2版)の該当箇所を拝見しますと「その他の」というのは、その『前にある字句が「その他の」の後にある、より内容の広い意味を有する字句の例示として、その一部を成している場合に用いられる』ということなので、「その他の」の前には例示となる語句が列挙されているはずです。

ところが、「及びその他の」という用法では、「及び」のところで字句のまとまりが切れてしまっていますので、「その他の」の前に「例示」があるとは言えないのではないか、何か違う用法なのではないか、というのがご質問の背景にある問題意識なのではないかと推察いたします。

実例があるにもかかわらずその点について明確に触れている文献等は見当たりませんでしたが、上掲民法第766条第1項を拝見しても、ここでいう「面会」は「交流」に含まれ、交流の方法の1つを指していると言ってよく、「交流」のひとつの例示とも捉え得るものです。

他方で、類書にあるような法制執務上の用語としてではなく、ごく一般的な用法としての「その他の」として読んでも特段支障は生じません。

つまり「父又は母と子との面会はもちろん、それに限らず、それ以外の交流の方法」という意味に読むことも可能であり、先の読み方と意味内容に大差ありません。

したがいまして、結局のところ、その規定の趣旨からしてどのように読むのが適当なのかを読む側が解釈せざるを得ないということなのだろうと思います。