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2021/01/29(金)
カテゴリー : -FAQ, 5.用字・用語、形式

定義規定よりも前に、同じ定義を追加する場合の引用方法について

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【お問合せ】

 当市の財務関連で30条建ての中規模規則があり、第12条に次のような定義規定があります。

第12条 次の各号に掲げる、○○市補助金、負担金及び手数料(以下「財務対象金」という。)に関する計算方法は、当該各号の区分に応じ、それぞれ計算するものとする。

 今般、改正を検討しており、第10条の次に第10条の2を追加する予定です。
問題はその第10条の2に盛り込む内容なのですが、文脈上どうしても「財務対象金」という用語を入れなければなりません。
 そうすると、定義規定がある第12条よりも前に「財務対象金」という用語を入れることとなってしまいます。
このような場合は、第12条にある定義規定を第10条の2移動させる改正が必要になると思いますが、それ以外に引用などで解決することはできないのでしょうか。

【弊社見解】

 最も適切、かつ、シンプルな方法は、お問い合わせにございます通り、定義規定を実質的に繰り上げるような改正かと思われます。
他方で、地方公務員法には次のような例がございます。

(定年による退職)

第二十八条の二 職員は、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日までの間において、条例で定める日(以下「定年退職日」という。)に退職する。

 第28条の2には「定年退職日」という定義がありますが、実は同条よりも上の第26条の3にも「定年退職日」という定義が出て決ます。
地方公務員法は第28条の2の定義規定をそのままにしつつ、第26条の3でも「定年退職日」を使用できる仕組みになっています。

(高齢者部分休業)

第二十六条の三 任命権者は、高年齢として条例で定める年齢に達した職員が申請した場合において、公務の運営に支障がないと認めるときは、条例で定めるところにより、当該職員が当該条例で定める年齢に達した日以後の日で当該申請において示した日から当該職員に係る定年退職日(第二十八条の二第一項に規定する定年退職日をいう。)までの期間中、一週間の勤務時間の一部について勤務しないこと(次項において「高齢者部分休業」という。)を承認することができる。

 以上のように、定義規定のある条文を引用して「○○に規定する××をいう。」という表記にすれば、定義規定よりも前に同一の意味での用語を用いることが可能となります。