臨時的任用職員の定年規定の設定
【お問い合わせ】
地方公務員法では臨時的任用職員の定年は規定されていませんので、要綱の中に定年の規定を入れたいのですが、問題ないでしょうか。
また、裏づけとなる法令または判例等があればご教示ください。
【弊社見解】
地方公務員法第28条の2第4項の規定により、臨時的任用職員及び非常勤職員には、同条の定年に関する規定は適用されません。同様に、「職員の定年等に関する条例」の規定も臨時職員には適用されないので、必要があれば要綱で規定を設けることは差し支えないと考えます。
定年制は、終身的任用を前提とする恒常的な職にある職員の新陳代謝と身分の安定をはかるための制度であるから、これらの一時的あるいは非恒常的な職に任用された職員には適用する必要はないものとされたのであろう。
『逐条 地方公務員法』(橋本勇著 学陽書房)(p497)
また、臨時的任用の期間は6月を超えないこととされ、かつ、その更新は6月を超えない期間で一度限りとされています(地方公務員法第22条第5項)。このことから、臨時的に任用される職員について定年を設けることは、それほど大きな意味を持たないと思われます。
このように、臨時的任用職員にあっては、定年という概念に馴染まない性質(期間を定めて任用されているため)だと思われます。これが地方公務員法上において適用除外とされている所以だと考えられます。そのため、法令において臨時的任用職員の定年を直接規定しているものは存在しないものと思われ、明確な裏付けとなる法令・判例等はないものと思われます。
なお、地方公務員法上、臨時的任用職員について定年制度を設けるということ自体を否定するものではないため、各自治体においては、必要があれば、任意に臨時的任用職員の定年の規定を設けることができるという解釈であると考えます。