議会における会派の解釈
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地方自治法(以下「法」という。)第100条第14項には、「普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる。この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。」とされています。
全国自治体の例規集で「政務調査費の交付に関する条例」を確認すると、「会派」を「1人会派を含む」とする自治体、「2人以上の会派」とする自治体、あるいは「3人以上の会派」とする自治体など、様々です。
国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律(昭和28年法律第52号)第1条第1項では、1人の会派も含めているようです。
しかし、法においては「会派又は議員」と規定されていることからすると、個である議員に対する概念として「会派」は2名以上と考えることが自然であると感じます。
上記のことを踏まえ、以下の点をお聞きします。
(1) 法第100条第14項に規定する「会派」とは2名以上のみを意味すると解してよいのでしょうか。
(2) 法第100条第14項に規定する「会派」について、参考となる資料等がありましたら、お教えください。
【弊社見解】
(1)
会派
議会内に結成された議院の同志的集合体のことをいう。
会派を結成し又は解散したとき及び名称変更又は構成員に異動が生じたときは、会派の代表者から直ちに議長あてに届け出る。
会派は、原則として複数の人的構成が要件であり、1人だけで会派を名乗っても厳密には会派とはいえない。しかし、運用上は1人会派も見受けられる。国会の場合、各会派に対する立法事務費の交付に関する法律第1条で、この法律での会派は、政資法第6条第1項の規定による届出のあった政治団体で、議院におけるその所属議員が1人の場合を含む取扱いをしている。
『地方議会運営辞典』(地方議会運営研究会編集 ぎょうせい)(p93)
ご指摘のとおり、法第100条第14項に規定されている「会派」とは2名以上(複数の人的構成)の場合を指していると解釈するのが妥当であると思われます。しかしながら、人数については明文化はされておりませんので、各自治体の判断によって運用が異なっているということが現状ではないでしょうか。
(2)
○参議院 「資料集 国会キーワード」より
http://www.sangiin.go.jp/japanese/aramashi/keyword/kaiha.html
会派
「会派」は、各議院の内部において組織される議員の団体ですが、議員が任意に結成する院内団体であり、議院の機関ではありません。一方、会派の結成等については、議長への届出を要し、それによって院内で一定の地位や便益が供される点で、個々の政策の推進や議員間の友好を目的として結成される議員連盟等とは異なります。
国会法の規定中「会派」の語が出てくるのは、第42条、第46条、第54条の3だけで、しかも、これらは委員の割当てについて規定したものです。国会法や議院規則では会派の要件等の規定を置かず、先例にゆだねています。
会派は、2人以上の議員をもって結成することができます。退会又は議員辞職等により会派の所属議員が1人となったときは、その会派は消滅することになります。会派を結成、解散、名称変更したときや、会派の所属議員に異動があったときは、議長に届け出ることが必要です。なお、議員が複数の会派に所属することは認められません。
議院の運営については、実質的にこの会派を単位として協議され、また、議員はその所属会派の一員として活動することになります。会派が重要な機能を果たすのは、議院の構成・運営上の様々な事項について割当ての対象となる点です。常任委員長、委員(常任、特別、調査会等)、理事、本会議の発言時間、控室等は、所属議員数に応じた比例配分により会派に割り当てられます。中でも議院運営委員の割当ては、議院の運営についての協議に参加できる資格となる点で会派にとっては重要な意味を持ちます。参議院では、所属議員10人以上の会派に議院運営委員が割り当てられ、院内交渉会派と呼ばれています。
会派と政党は混同されることがしばしばありますが、両者の決定的な違いは、会派の機能が院内に限られているのに対し、政党は一定の政治活動を行う社会的存在であること、またそれゆえにその構成員が議員に限られていない点といえます。
実際上、同一の政党に所属する議員が会派を結成することが多いのですが、政党に籍を置かない議員の会派への所属や複数の政党が統一会派を組むような例も見られます。
なお、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律は、「立法事務費の交付を受ける会派」について規定していますが、これは(1)議院運営委員会が会派の認定を行うこと、(2)所属議員が1人でも結成が可能なことの2点において院内団体たる会派との間で要件が異なります。
所属議員が1人だけの会派は、制度上認められず無所属(参議院にあっては「各派に属しない議員」)扱いとなります。ただし、当該無所属議員の所属する政党等が政治資金規正法上の政治団体に該当する場合は、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の適用に限り会派と同等とみなされ、一人会派に対しても立法事務費が支給されるということであります。
○参議院 「よくある質問」より
http://www.sangiin.go.jp/japanese/goiken_gositumon/faq/a09.html#A02
Q.
「政党」と「会派」はどう違うのですか
A.
会派とは議院内で活動を共にしようとする議員のグループで、2人以上の議員で結成することができます。会派は、同じ政党に所属する議員で構成されるのが普通ですが、政党に所属していない議員同士で会派を組んだり、複数の政党で一つの会派を構成したりすることもあります。委員会の委員・理事、質疑時間の割当てなどは、会派の所属議員数に比例して会派ごとに割り当てられます。
政党とは、一般的には、政治について同じ意見をもつ人たちが、その意見を実現するためにつくる団体のことを言います。政党は、国民のさまざまな意見や利益を政治に反映し、国民と国会や政府を結ぶパイプ役としての役割を果たしています。なお、「政党助成法」等では、それぞれ必要な範囲で「政党」の条件を規定しており、国会議員が5人以上、総選挙又は通常選挙で有効投票総数の100分の2以上の得票を得たことなどの要件があります。