二種類の一括条例で一つの条例を改正することの適否
【お問い合わせ】
一括条例の制定についてお尋ねさせていただきます。
現在、「会計年度任用職員制度の準備」及び「成年被後見人等に係る欠格条項の見直し」といった二種類の一括条例を作成しておりますが、給与条例等につきましては、両方の側面を持っています。
そこで、給与条例等両方の側面を持つ条例は、どのように改正すべきか、ご教示いただけますでしょうか。
【弊社見解】
一定の事実の発生・施策の実施、法令の制定・改廃等に伴って2つ以上の条例を改廃する必要が生じた場合には、条建てにより、いわゆる一括条例を立案することが通例と考えます。
ある一括条例をA条例、別の一括条例をB条例、ある給与条例等をC条例としますと、A条例とB条例の立法目的が異なるのであれば、A条例によりC条例を改正し、B条例によりC条例を改正することで差し支えないと考えます。
お問合せによりますと、「会計年度任用職員制度の準備」及び「成年被後見人等に係る欠格条項の見直し」という2種類の一括条例を作成中とのことですが、それぞれの一括条例の立法目的が異なるわけですから、当該一括条例により改正される条例が同じ給与条例であっても差し支えないと考えます。
むしろ、当該被改正条例をどちらかの一括条例にまとめることは、当該一括条例の立法目的と異なる改正を含ませることになりますので、適切ではないと考えます。
法律の例ですが、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第69号)が制定され、その第33条から第68条までにおいて、総務省関係の法律を改正していますが、この中で、地方自治法、消防法、政治資金規正法、公職選挙法、電波法、放送法、地方税法、地方公務員法、行政書士法、地方公営企業法、住民基本台帳法、地方公務員災害補償法、政党助成法、総務省設置法、市町村の合併の特例に関する法律等の改正が行われています。
同時期に、独立行政法人通則法が一部改正されており、独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(平成26年法律第67号)が制定されております。
この独立行政法人通則法の一部改正に伴う整備法の第33条から第54条までにおいて、同様に、総務省関係の法律である地方自治法、政治資金規正法、公職選挙法、電波法、放送法、地方税法、行政書士法、住民基本台帳法、総務省設置法等の改正が行われています。
このように地方自治法など、複数の法律が、別々の一括法により改正されていますので、それぞれの一括法の立法目的に照らし、その目的の範囲内で対象となる関係法律を改正したものと理解します。