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2020/11/19(木)
カテゴリー : -FAQ

定義・略称の条項を限定することの意義・判断基準について

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当町で5条建ての条例があり、第2条で2つ略称規定を設けております。一方は『以下「○○」という。』、他方は『以下この条において「○○」という。』と定めています。

第2条 ×××○○○(以下「A」という。)××。
2 ×××A、×××○○(以下この条において「B」という。)。
3 ×××A、×××B×××。
※第3項以下にAもBも出てきません。

条文の文中に定義や略称を定め、『以下「○○」という。』でしたり、『以下この条において「○○」という。』というように、表現する方法があると思います。
『以下「○○」という。』と表現する場合と、『以下この条において「○○」という。』『以下第○条において「○○」という。』などと表現する場合とで、何か違いがあるのでしょうか。

【弊社見解】

法制執務詳解・新版Ⅲには以下のような記載がございます。※以下要約
*条項を限定して定義する意義
①定義される用語が用いられる条項が少ない場合。
この場合は、用いられる条項を掲示しても煩雑とはならないので、法文を読む便宜から、その用語が用いられる条項を限定して指示するのが一般的である。
明確な基準はないが、法令の場合、条項・章節等が3つ以下あるいは連続しているときに、限定して指示することが多い(法令全体の条文数や定義を定めている位置等も考慮して判断する。)。
②用いる用語の意味について、特定の条項に限ってその意味を縮小又は拡大して用いる場合
この場合は、当然ながら必ずその意味で用いられる条項を限定して指示しなければならない。

以上のような記載から、次の棲み分けがよろしいのではないでしょうか。
まず、次のケースに当てはまる場合には、条項を限定して指示するのがよいでしょう。
・用語が用いられる条項が少ないケース(法制執務詳解の基準に則れば3つの条項以下)
・用語が用いられる範囲が限られているようなケース(法制執務詳解の基準に則れば用いられる条項が連続しているケース)
・特定の範囲の条項のみ異なる意味で用いたいケース(縮小や拡大解釈するようなケース)
これらの場合には、条項を限定して指示する表現を用いると考えればよろしいかと思われます。
他方で、これらに当てはまらないのであれば、条項を特に限定しない表現を用いればよいと思われます。

今回のケースでは、1つの条文のみに当該定義が用いられておりますので、「用語が用いられる条項が少ないケース」に該当するものと推察されます。
したがって、条項を限定して指示する方法がより適切な方法になるものと思われます。