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2008/05/29(木)
カテゴリー : 6.法令解釈

公の施設の利用時間を条例改正せずに延長できるか

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【お問い合せ】

公の施設の利用時間を変更をする場合の手続きについてお聞きしたいことがありメールをさせていただきました。本町には、町営の温水プールがあり、当然ながら、条例により設置をしています。そしてそのプールは、現在、指定管理者に管理を行わせています。
今回、指定管理者より、利用者の増大を図るため、夏季期間のみ(6月~9月)利用時間を延長したいという話がありました。
利用時間は条例で定めているので、利用時間を変更する場合は、条例改正をするのが本来だと思いますが、指定管理者としては、試しに今年度、夏季期間を延長してみて、利用者が増えた場合は、次年度以降も延長することとし、反対に、利用者の増大が図れなかったときは、次年度以降の利用時間をもとにもどしたいということで、条例改正をせずに、利用時間を変更したいという意向です。
条例第3条第2項では「町長は、特に必要があると認めるときは、前項の利用時間及び休館日を変更し、又は、休館日以外に臨時に休館することができる。」と謳っていますが、この条項を根拠に、条例改正をせず、利用時間を変更することは可能でしょうか。

【弊社見解】

指定管理者制度の趣旨は、多様化する住民のニーズに、より効果的、効率的に対応するため、「公の施設」の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ることにあります。
そして、適切な運営を担保するために、地方自治法第244条の2第4項で、施設の利用料金や利用時間を条例での規定事項としています。

これは、指定管理者に公の施設を管理させることにより、起こる不都合(利用時間が極端に短くなったり、閉館日が管理者の恣意的に決められてしまったり)を回避するために定められているものであると考えられ、公の施設の管理についての最低限の基準を定めているものであると考えます。
そして、この条例事項のために、住民サービスに資する弾力的な運営をおこなえないことは、当該制度の掲げる趣旨に反するものであるといえ、指定管理者制度の目指すところではないと思います。

住民サービスの向上の理由から、夏季の利用時間を延ばすことは、指定管理者制度の趣旨に添うものであると思われますので、条例を改正せずとも、市長が必要と認めることで対応可能であると考えます。
しかしながら、これはあくまで臨時的な措置であり、恒久的な利用時間の変更には条例の改正が必要と考えます。
以上、ご参考になれば幸いです。

   《参考》

若松城天守閣条例の一部を改正する条例

開館時間等は市長の承認を得れば変更できる

【会津市民の会 石田 典男 議員】
   若松城の管理・運営の指定管理者制度への移行に伴う、条例改正のポイントは何か。
 また、条例には、営業時間等について定めてあるが、夜間営業を実施しているように、例えば、朝日を見るために鶴ヶ城を訪れる市民・観光客に対し、営業時間の弾力的な運営はできないものか伺いたい。

【産業振興部長】
  開館時間、休館日等について、指定管理者制度へ移行するための改正をした。 開館時間等については、具体的に定めているが、指定管理者制度への移行後も、必要があると認められる場合、あらかじめ市長の承認を得て変更することができる という弾力的な運営ができるよう定めてある。

会津若松市 広報議会 平成17年8月1日号