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2007/12/15(土)
カテゴリー : 5.用字・用語、形式

官報で「、」が上の字句とともに改められていたが、これは誤りではないか

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【お問い合せ】

平成19年11月30日官報号外第273号にて公布されました、 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律 (平成19年法律第118号)の第1条中第11条第3項の改め文についてです。
「法制執務詳解(石毛正純/ぎょうせい)」では、読点「、」はその下の字句に従属するものとされていますが、当該改め文を見ると一見間違いなのか?と疑義が生じたため、ご教示願いたく思います。

【弊社見解】

今回、回答に当たりましては、弊社顧問をして頂いております、八木欣之介先生にご意見を頂きました。


読点を含む語句の改正については、確かに、法制局では、下の字句に従属するものとしており、「、○○○」と引用するのが原則ですが、これはあくまで、便宜的なもので、絶対的なルールではありません。

<一般職の職員の給与に関する法律第11条第3項の改正規定について>

1 まず、「六千円(・・・六千五百円、」を「六千五百円(」に改める部分については、前の「六千円・・・」が削られる改正と一緒になっているので、読点を前の語句とともに引用するのは、簡便のためには疑問の無いところであると思います。
2 ご質問の、「ない場合にあっては、」についてですが、第11条第3項には、「そのうち」が2箇所ございますため、原則どおりに従い改め文を作成しますと、「、そのうち一人については一万千円」と、長く引くことになってしまいます。これを嫌ったものであると考えます。

なお、内閣法制局でも「読点は下の字句に従属するものである」とされていますが、その根拠は不明確であるため、いろいろ実例について検討した結果、上の字句に従属していると考えざるを得ない場合もあることが認められました。

そこで、法制局で、読点を下の語句とともに、「、○○○」として引くのは、読点を見落とさないようにするための便宜的な理由に過ぎないのではないかという結論になりました。もっとも、この議論は、法制局内の2、3人での議論にすぎませんので、例規や解説を改めるという段階のものではありません。


結論としまして、読点を含む語句の改正については、原則的には、読点は下の字句に従属するものであると考え、改正を行うものが通常でありますが、これは必ずしも絶対的なものでなく、その時々の事情に応じて、個々に違った改正手法をとることもあり得る。ということであると考えます。参考になれば幸いです。