「長が定める」「別に定める」という委任規定に問題はないか
【お問い合せ】
条例を制定する際、委任規定を設ける場合には「~に必要な事項は、規則で定める」とするのが通例と思われるが、「町長が定める」「別に定める」と規定しているものが見られる。
このような規定は、法制執務上誤りではないか。
【弊社見解】
「町長が定める」について
法制執務上、誤りではありませんが、「規則で定める」とは意味が異なります。
まず、「規則で定める」は、委任命令の法形式を「規則」と指定しています。
これに対して「町長が定める」は、委任の相手方を「町長」としているだけなので、委任命令の法形式は、町長の権限の範囲の「規則」でも「告示」でもよく、場合によっては「訓令」などの内部的な決定も考えられます。この場合、委任先の形式を限定するかどうかは、議会の意思によるものと思われます。
「別に定める」について
法制執務上、一般的には不適当な表現だと考えられます。
なぜなら、委任の法形式も受任者も特定されていないので、法として明確性に欠けるからです。
※ 「別に条例(規則)で定める」について
この表現は、基本条例などで、具体的なことはこの条例でなく別の条例の定めるところによるという場合(別途、施行条例などを定める場合)に用いられます。
また、施行規則のほかに細則的な規則がある場合にも、規則中で「別に規則で定める」としているケースがあると思われます。
上記の場合のほかに、単なる条例から規則への委任などの場合に、「別に規則で定める」「別に村長が定める」という表現が用いられていることがありますが、その場合は、「別に」という語には特別の意味はありません。