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2007/05/28(月)
カテゴリー : 6.法令解釈

地方自治法第240条第4項第7号に規定する自治体の基金(奨学資金)を返さない者への対応について

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【お問い合せ】

地自法第240条4項7号に規定する自治体の基金(奨学資金)を借りて返さない者がいる。督促により取り立てることは適法か、また、督促にかかる手数料を徴収しても良いか。

【弊社見解】

【1】取り立てたいが、督促は適法か。

地方自治法施行令第171条に規定するところにより、督促は適法と考えられます。

【2】督促にかかる手数料を徴収しても良いか。

地方自治法第231条の3第2項に規定するところにより、督促手数料について予め条例に規定しておけば、徴収することが可能と考えられます。

基金(奨学資金)についての督促手続の可否につきましては、法令の解釈が重要となりますので、当方で調査の上、総務省自治行政局行政課に問い合わせを行いました。以下に結果を記載します。

まず、地法自治法第240条は一般的な債権管理の定めであり、基金についての債権の管理は同法第241条第7項の規定に従い、結果として債権管理の例に依ることになります。

ここで債権管理とは、同法第240条第2項によると『地方公共団体の長が、政令の定めるところにより、その督促、強制執行その他その保全及び取り立てに関し必要な措置をとらなければならない』と規定されています。

地方自治法施行令の該当条文である第171条に『債権(地方自治法第231条の3第1項に規定する歳入に係る債権を除く。)』について督促手続が定められており、同法第231条の3に定められている歳入には基金による貸付金は含まれていないことから、同施行令第171条が適用になり基金条例に定めた履行期限までに履行されない貸付金に対する督促手続は適法であると解釈できます。
      
次に、督促手数料については同法第231条の3第1項に規定された手数料に入ることから、徴収することが可能です。
ただし、予め条例(個々の手数料条例、使用料条例等の他、督促手数料及び延滞金に関してのみ規定した条令を含むとされています。:行実昭28.12.10)に定めた上、督促した場合でなければ徴収することは出来ません。

したがって、基金の貸付金について履行期限までに履行しない者がある場合、同施行令第171条の期日を定めた督促後の手続は、同法第231条の3第2項から4項及び同施行令第171条の2に規定された強制執行等の手続措置を講ずることになります。