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2007/05/28(月)
カテゴリー : 6.法令解釈

合併協議会が「公の施設」にあたる公民館の1室を1年間にわたり占有・使用する場合について

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【お問い合せ】

公の施設である中央公民館の1室(複数の部屋のうち最も広い部屋)を1年間にわたり合併協議会で占有・使用したい。
公民館の一部の使用であって全部の使用ではないが、「議会の議決に付すべき公の施設に関する条例」に基づく議会の議決は必要か。

【弊社見解】

議決が必要か否かは自治体で規定している「議会の議決に付すべき公の施設に関する条例」の規定によることになります。
ただし、当該条例に部分使用について規定していない場合は、本条例の条文解釈の問題となり、いかに解するかは自治体様が判断されることになります。

そこで本件が「独占的な利用をさせようとするとき」に当たるかどうかの解釈の指針ですが、行政実例(昭和32.10.4)によると『「独占的な利用」とは、「当該処分により従前住民が有していた利用関係を失わしめ、相手方に他の介入を排除するような利益を与えられると認められる場合をいう』とされています。

『逐条地方自治法・第2次改訂版 』(学陽書房・324・931頁)」によれば、地方自治法第96条第1項第11号の趣旨は、公の施設を「長期にわたって特定人又は特定の団体に限り独占的に利用させる場合においては、住民としてはこれを利用する権利を制限される結果となるので」議会の議決によることにした、とあります。
また、「独占的な利用」とは、病院、水道等を特定人又はその集団に限り利用させ、或いは牧野を特定の個人又は団体に使用させるように、公の施設としての目的を実質的に逸脱する使用の場合をいう。」とされています。

以上から、本件の場合は公民館の4室あるうちの1室が対象となっており、他の3室は従来通り使用できるので、「当該処分により従前住民が有していた利用関係を失わしめ」るとまでは言えず、また、「これを利用する権利を制限され」「公の施設としての目的を実質的に逸脱する使用の場合」に当たるとまでも言えないように思われます。

更に、多くの自治体が議決を要する場合を5年・10年といった長期に設定しており、どちらかと言えば1年ほどの使用は議会の議決は不要と判断していることから、本件は「独占的な利用をさせようとするとき」に当たらない、従って議決は不要、と判断しうる様に思われます。