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2010/03/08(月)
カテゴリー : 3.附則

改正を行わず、改正附則のみを追加する一部改正は可能か

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【お問い合せ】

新たに経過措置、特例措置を設けることになったが、改正の参考例(準則)を見ると、本則等の改正は行わず、新たに改正附則の追加のみを行うとされている。
同様に例規の改正を行いたいが、その場合の改め文は以下のようにすればよいか。

       ○○町介護保険条例の一部を改正する条例
   ○○町介護保険条例(平成○年○○町条例第○号)の一部を次のように改正する。
  附則に次のように加える。
       附 則

(施行期日)
第1条 この条例は、平成20年4月1日から施行する。
(平成20年度における保険料率の特例)
第2条 介護保険法施行令及び介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令の一部を改正する政令の一部を改正する政令(平成19年政令第365号)による改正後の介護保険法施行令及び介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令の一部を改正する政令(平成18年政令第28号。この条において「新平成18年介護保険等改正令」という。)附則第4条第1項第5号又は第6号のいずれかに該当する第1号被保険者の平成20年度の保険料率は、第2条第1項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる第1号被保険者の区分に応じそれぞれ当該各号に定める額とする。

       (以下略)

【弊社見解】

法制執務上、「改正を行わずに、改正附則の追加のみを行なう」ことはできません
これは、いわゆる改正附則が、一部改正法令の附則を、便宜上改正対象の法令の後にまとめて表記しているに過ぎず、一部改正自体が存在しない以上、その附則は存在しえないためです。
また、改正附則は、改正対象の法令とは異なる法令として存在するので、改正によって対象の法令に「加える」という概念にもそぐいません。
したがいまして、このような場合は、その参考例(準則)が不適切である、と考えられます。
このような場合に、法制執務上適切に経過措置、特例措置を設けるためには、原始附則(場合によっては以前の改正附則)を改正して、当該規定を追加する必要があります。

【参考】

介護保険条例(参考例) – 自治体法務の備忘録