2009/08/26(水)
カテゴリー : 6.法令解釈
議員の予算を伴う議案提出権について
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地方自治法
(昭和二十二年四月十七日法律第六十七号)第百十二条 普通地方公共団体の議会の議員は、議会の議決すべき事件につき、議会に議案を提出することができる。但し、予算については、この限りでない。2 前項の規定により議案を提出するに当たつては、議員の定数の十二分の一以上の者の賛成がなければならない。3 第一項の規定による議案の提出は、文書を以てこれをしなければならない。
議員の議案提出権についてかかれているのだが、 議員が予算を伴う条例を議会に上程することは(「但し、予算については、この限りでない。」という規定を踏まえて)、可能なのか。
【弊社見解】
地方自治法に次のような規定がございます。
(予算を伴う条例、規則等についての制限)
第二百二十二条 普通地方公共団体の長は、条例その他議会の議決を要すべき案件があらたに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられる見込みが得られるまでの間は、これを議会に提出してはならない。2 普通地方公共団体の長、委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関は、その権限に属する事務に関する規則その他の規程の制定又は改正があらたに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられることとなるまでの間は、これを制定し、又は改正してはならない。
「議会の議員が予算を伴う条例案その他の案件を提出する場合は、本条(第222条)の趣旨を尊重して運営されるべきものであって、あらかじめ執行機関と連絡の上財源の見透しを得る必要があろう(通知 昭31.9.28。行実 昭32.9.25)。『逐条 地方自治法』(松本英昭著 学陽書房)(p721)」
地方自治法第112条は、予算の提案権は長に専属しておりますので議員にはすることができないことを示しており、予算を伴う条例を提案することができない旨を規定したものではございません。
しかしながら、本来、条例と予算は表裏一体のものであり、予算を伴わない条例は実行性を期しえないものでありますから、上記解説にありますように、議員としても、第222条の趣旨を尊重して運用すべきであります。このように、財政負担を伴う条例を議案提案する場合には、当該団体の財政状況を考慮し、かつ、執行部の意見を聴き、慎重に期すことが望まれます。