経過期間中に異なる改正が加わる場合の規定の仕方①
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一部改正例規にて、AをA’(ダッシュ)に改正した場合に、特定の対象につき経過的に従前のまま(A)の取扱いをしたいときには、改正附則に、当該特定の対象に対する経過措置として「○○については、なお従前の例による」という規定を置く手法が取られるかと思います。
今回お尋ねするのは、上記の改正に更なる改正が加わる場合の規定の仕方です。
経過措置期間中に、A’(ダッシュ)をA”(ダブルダッシュ)に更に改正した場合、上記特定の対象について引き続きAの取扱いをしたいときには、改正附則をどのように規定すればよろしいでしょうか。更なる経過措置を規定する必要があるのでしょうか。その場合にはどのように記述するのでしょうか。
【弊社見解】
この規定は、通常は経過措置における適用区分で使うが、対象の行為や事象をある時点で区分することが必要であり、原則としてその時点の直前の法状態あるいは直前において適用状態であった法が「従前」の内容となる。
『法制執務ハンドブック』(大島稔彦著 第一法規)(p220)
前者(なお従前の例による)の場合は、ある事項に対する法律関係については、新法令又は改正後の法令の規定の施行直前の法律制度をそのまま凍結した状態で適用するのであって、~
『新訂 ワークブック法制執務』(法制執務研究会編 ぎょうせい)(p336)
AをA’に改正し、「なお従前の例による」旨の規定を置けば、この時点の適用状態である例規はは「A」であります(A→A’の改正直前の例規状態は「A」であるため)。その経過措置期間中にさらにA’をA”に改正した場合の、改正後の法令の規定の施行直前の例規は、「A’」であると考えます。そのため、A’をA”に改正した場合に「なお従前の例による」旨の規定を置いた場合の、「従前」とは「A’」を指すことになると考えます。
この場合の適用状態として「A’」ではなく、「A」としたい場合、次のような2段階の経過規定を改正附則に置くことが考えられます。
附 則
(施行期日)
1 略
(経過措置)
2 ○○○○規則(平成○年規則第○号)附則第○項の規定によりなお従前の例によることとされた○○に関する規定については、この規則の施行後も、なお従前の例による。
商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律
(平成十三年十一月二十八日法律第百二十九号)
(商業登記法の一部改正に伴う経過措置)第七十条 商法等の一部を改正する法律附則第六条第一項の規定によりなお従前の例によることとされた新株の引受権並びに同法附則第七条第一項の規定によりなお従前の例によることとされた転換社債及び新株引受権付社債についての登記に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。(預金保険法の一部改正に伴う経過措置)
第八十条 商法等の一部を改正する法律附則第七条第一項の規定によりなお従前の例によることとされた転換社債であって預金保険法第二条第六項に規定する劣後特約付社債に該当するものの転換により発行された株式及びこれについて分割又は併合された株式については、この法律の施行後も、なお従前の例による。