「通勤による災害」のとらえ方
【お問い合わせ】
次のことについて、ご教示願います。
公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律(昭和32年法律第143号。)に規定する公務上の災害には、学校医等がその業務目的のため学校へ赴く途中で事故等により負傷した場合に適用となるかご教示をお願いします。 地方公務員災害補償法などの規定において「公務上の災害」とは別に「通勤による災害」について規定していることを勘案すると、学校医等の公務災害補償制度において「公務上の災害」には業務へ赴く途中での事故等いわゆる「通勤による災害」は含まれず、学校医等の補償の対象としていないものと思われますが、いかがか。
【弊社見解】
昭和48年法律第76号改正によって、「通勤による災害」に対する補償制度が新設されたこと、通勤は、『勤務に伴うものであって、勤務との関連性は認められるが、その経路、時間等については各人の自由にゆだねられており、任命権者の支配管理下にはないことから、通勤途上の災害は一般的には、公務災害ではなく通勤災害として取り扱われる(地方公務員法災害補償法逐条解説、ぎょうせい、改訂版、p50)』とされていることから、地方公務員災害補償法においては「公務による災害」と「通勤による災害」が明確に区別されております。
学校医は、特別職の地方公務員と位置づけられますが、その災害補償には公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律が適用されることとなります。具体的な災害補償の内容は、『公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害の基準を定める政令(昭和32年政令第283号)を基準として地方公共団体の条例で定める(地方公務員法災害補償法逐条解説、ぎょうせい、改訂版、p35)』こととされていますが、当該政令中に特に「通勤による災害」については言及がありません。
以上のことから、貴自治体様の条例中で、「通勤による災害」を規定していない以上、「通勤による災害」については、やはり、補償の対象とはしていないと考えることが適切であると思います。ご参考になれば幸いです。