「施行」と「適用」について
【お問合せ】
「施行」と「適用」は、どのように違うのでしょうか。
【弊社見解】
1 例規(規則)の施行について
例規(規則)は制定されただけでは現実にその効果を発揮することはできません。公布等の正式な手続を経て一般に周知された上で、さらにそれが施行されることが必要です。例規(規則)は施行されることによって、はじめてその規律しようとする対象・事象に対して現実に効力を発揮することとなります。
なお、「例規(規則)がいつ施行されたのか?」ということは事実の問題です。したがって過去の日を施行日とすることはできません。また、当然のことながら、既に施行されている例規(規則)の施行日を変更することなども不可能です。例規(規則)の遡及施行ということはありません。
2 例規(規則)の適用について
それでは「例規(規則)の適用」とは、どのようなことなのでしょうか?
例規(規則)は施行されることによって、実際にその規律しようとする対象・事象に対して現実に効力を発揮することとなります。これが「例規(規則)の適用」の問題です。
普通の場合には、単純に施行期日さえ定めておけば、どのような対象・事象に例規(規則)が適用されるのかということは特に問題とならないことが多いと思われます。しかし、例規(規則)の内容によっては、その例規(規則)が具体的にどのような対象・事象をどのように規律していくのか、つまり、例規(規則)がどのように適用されるのかということが明確ではない場合があります。
例えば、A条例第◎条では「対象者に対して、毎月15日に2万円を支給する」ということが定められており、この支給額を毎月3万円に引き上げることを内容とするA条例の一部改正条例が令和8年の3月20日に施行されたとします。どの月から対象者は3万円を受給することができるのでしょうか?
A条例の一部改正条例が3月20日に施行されているところから、3月分から3万円が支給されるような気もします。しかし既に3月分の支給日である3月15日を過ぎているので、4月分からしか3万円は支給されないようにも思われます。
この事例では、例規(規則)がどのように適用されるのかということが明確ではないため、つまり、改正後のA条例第◎条の規定がどのように適用されるのかということが例規(規則)上明らかとなっていないために、何月分から3万円が支給されるのかの判断に迷うこととなってしまっています。したがって、具体的にどの対象・事象が改正後の規定により規律されることとなるのかということが例規(規則)上明らかとなるようにする必要があります。これが例規(規則)の適用の問題です。
繰り返しとなりますが、例規(規則)の施行の問題とは区別して考える必要があります。先ほどの事例でいえば、「改正後の第◎条の規定は、令和8年4月分以降の支給について適用し、令和8年3月分以前の支給については、なお従前の例による。」などというような規定を A条例の一部改正条例の附則に設けることにより、改正後のA条例第◎条の適用関係を明らかにすることができます。
