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2010/04/14(水)
カテゴリー : 5.用字・用語、形式

規程、告示、訓令、要綱、要領とは

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【ご質問】

規程、告示、訓令、要綱、要領のそれぞれの違いを知りたい。

【弊社見解】

例規集には、「条例」や「規則」といった法的位置づけがはっきりした法令の他、規程、告示、訓令、要綱、要領といったものが収録されています。
これらの用語は、例規集において、発令形式の表記として用いる場合と、題名の中で用いる場合とがあります。

(例)
発令形式においては、法制執務上は「要綱」「要領」といった形式は無いため、例規として整備する際に「要綱第○号」といった表記をすることはありません(一般的には、要綱は告示か訓令として制定します。)。
また、委員会規程や公営企業の管理規程以外では「規程」という発令形式はありません。

一方、題名は、題名の表記と発令形式とは必ずしも連動するものではなく、法制執務上の明確な基準もありません(後述の「規程」を除く。)。
したがって、「要綱」「要領」「規程(委員会規程及び公営企業の管理規程を除く。)」は、発令形式としては告示や訓令の形をとっており、ただその性質に応じて、そのような題名がつけられたものであると考えることができます。

<発令形式の種類について>
法規たる性質を有する条例・規則のほか、地方公共団体の発令形式としては、地方公共団体の長の定める告示・訓令、行政委員会の定める規程・告示・訓令等があります。

告示
地方公共団体の長が、その機関の所掌事務について、法令又は条例、規則等に基づき、指定・決定などの処分その他の事項を外部に公示する形式をいいます。その形式は、おおむね条例・規則の立法形式に準拠したものになっています。
訓令
地方公共団体の長が、地方自治法第154条の規定に基づき、その補助機関である職員に対して、内部的な事務運営等について指揮監督するために発する命令をいいます。
告示が広く一般外部に対して周知させるためのものであるのに対して、訓令は組織の内部に対して発せられるものであるという違いがあります。 告示・訓令は、法規たる性質は持たないものの、一定の基準として法的性格を有する発令形式である、と言われていますが、上位の法令を補完するものである場合には、上位の法令と一体となって法規たる性質を有するとされています。

  告示・訓令は、行政委員会の長もその権限に属するする事務について発令することができます。

委員会規程
特別の法律によって認められた、地方公共団体の各種の委員会(教育委員会、公平委員会等)は、個別の法律による根拠がある場合には、その権限に属する事務について、規則その他の「規程」を設けることができます。(地方自治法第138条の4第2項)

第138条の4 普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、法律の定めるところにより、委員会又は委員を置く。
普通地方公共団体の委員会は、法律の定めるところにより、法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができる。
公営企業の管理規程
地方公営企業の管理者は、その業務に関して管理規程を制定することができます。(地方公営企業法第10条)

(企業管理規程)
第10条 管理者は、法令又は当該地方公共団体の条例若しくは規則又はその機関の定める規則に違反しない限りにおいて、業務に関し管理規程(以下「企業管理規程」という。)を制定することができる。

<題名の種類について>
どのような場合にどのような題名をつけるのか、については、先に説明しましたとおり、法制執務上明確な基準が示されていません(後述の「規程」を除く。)。
したがって、この点については、各自治体における政策判断に基づき決定することとなりますが、判断するための一応の基準を、以下に整理いたしました。

要綱要領
行政機関内部における規律であって、行政指導を行うための一般的な基準や、職員の業務執行上必要な細目的事項等、国民の権利義務に関する定めとしての性質を有しないものの名称として用いられます。
「要綱」と「要領」は、いずれも職員が事務処理を進めていく上での指針・基準を定める行政機関の内部規律であり、実質的な差異はないとされています。
しかし、一般的な言葉の意味として、「要綱」は基本をなす大切なことがらをまとめたものをいうことから、指針・基準を大綱的に定める場合には「要綱」を、細目的に定める場合には「要領」を用いるのが通例となっているようです。
規程
一定の目的のために定められた一連の条項の総体をいい、一般には法律・命令・条例・規則等の発令形式以外のものの名称として用いられます。
用例では、組織上の細目や事務処理手続その他事務処理上必要な事項を定める場合が多いといえます。
たとえば、処務規程、服務規程、文書取扱規程、公印規程等があります。
※なお、「規程」については、平成22年の「法令における漢字使用等について」の改訂に伴い、法令の名称としては原則として用いないものとされました。 新たな「常用漢字表」の告示に伴う、「公用文における漢字使用等について」の発令、「法令における漢字使用等について」の決定、法令用語改正要領の廃止等

<題名・発令形式の運用について>
前述のとおり、例規の題名と発令形式は必ずしも一致せず、また、題名が「要綱」の場合には発令形式が「訓令」となるというような対応関係もありません。
そこで、各地方公共団体の公文規程や文書管理規程において、たとえば発令形式が「訓令」である例規の題名は「要綱」とする、というような一定の対応関係を定める規定を設けることは可能です。

しかし、実際に何らかの統一基準を定めている地方公共団体の例を見ますと、その都度政策判断を行う余地を残した規定にしているようです。
したがって、たとえば例規の題名を「要綱」とする場合でも、周知が必要なものであるならば「告示」の形式をとり、行政組織の内規であるならば「訓令」の形式をとるということになります。

なお、表記を統一するために、本則・附則に当該例規の発令形式を記述する箇所や、一部改正法令の題名を、発令形式に一致させる運用を行っている地方公共団体もあります。

(例)

      ○○○○○○○○○○○○○○○○○要綱

                  (平成20年告示第●号)

附 則
この告示は、平成20年△月□日から施行する。

      ○○○○○○○要綱の一部を改正する告示

                  (平成22年告示第◎号)

附 則
この告示は、平成22年△月□日から施行する。

《参考》

法務相談事例集-「規程、要綱」等と「訓令」の使いわけについて

FAQ: 要綱・要領等、どのような場合にどの発令形式を使用するのか
FAQ: 題名が「要綱」で例規中でも「この要綱は・・・」と引用している例
FAQ: 「訓令」を「告示」で改正できないか